管理職は作業しないことが正義なのか|伝書鳩ではなく組織を前に進める役割

管理職は作業しないことが正義なのか

伝書鳩になるだけなら、管理職の価値は薄い

管理職になると、よく言われることがあります。

「管理職はプレイヤーではない」

「管理職は作業をするな」

「現場に任せろ」

「自分で手を動かすな」

たしかに、これは一面では正しいです。

管理職がすべての作業を抱え込んでしまえば、部下は育ちません。

現場の判断力も上がりません。

管理職本人も忙殺され、組織全体を見ることができなくなります。

しかし、ここで大きな誤解が生まれます。

作業をしないこと自体が、管理職の正義になっていないか。

私はここに強い違和感があります。


管理職の仕事は「伝えるだけ」ではない

管理職の役割を、次のように考えている人がいます。

現場から上がってきた内容をまとめて、上に報告する。

上から言われた内容を、現場に伝える。

会議に出る。

進捗を確認する。

資料を整える。

問題があればエスカレーションする。

もちろん、これらも管理職の仕事の一部です。

しかし、それだけで本当に管理職として価値があるのでしょうか。

現場の声を上に流し、上の方針を現場に流すだけであれば、それは極端に言えば伝書鳩です。

情報を右から左に流しているだけです。

管理職の価値は、単なる中継地点になることではありません。

本来の価値は、情報と状況を見て、判断し、方向を示し、必要な場面では前に出ることにあります。


「作業しない」と「責任を取らない」は違う

管理職が作業をしないことには、意味があります。

細かい作業をすべて管理職が巻き取ると、組織は管理職依存になります。

部下は考えなくなります。

管理職がいないと進まない組織になります。

だから、管理職が何でも自分でやるべきではありません。

ただし、これは責任から離れてよいという意味ではありません。

作業をしないことと、現場から距離を置くことは違います。

任せることと、放置することは違います。

部下に考えさせることと、管理職が何も決めないことは違います。

管理職が本当にやるべきことは、作業そのものではなく、次のようなことです。

  • 何を優先すべきかを決める
  • どこにリスクがあるかを見抜く
  • 誰が困っているかを察知する
  • 現場が動きやすい条件を整える
  • 必要な場面で矢面に立つ
  • 上位者や関係者と交渉する
  • 組織として進む方向を示す

つまり、管理職の仕事は「作業をするか、しないか」ではありません。

組織が前に進むために、どこで価値を出すかです。


管理職が前に出るべき場面はある

私は、管理職はまず表に出たり、先導することに価値があると考えています。

特に、次のような場面では管理職が前に出るべきです。

現場だけでは判断できない問題が起きているとき。

相手との力関係があり、現場にだけ背負わせると不利になるとき。

方針が曖昧で、誰かが方向を決めなければならないとき。

リスクが高く、責任の所在を明確にすべきとき。

部下が正しいことを言っていても、立場上通しきれないとき。

こういう場面で管理職が後ろに下がっていると、現場は疲弊します。

「現場で考えて」

「一旦整理して」

「上に報告しておいて」

「必要ならエスカレーションして」

これだけでは、現場からすると、管理職が何をしているのか分からなくなります。

本当に必要なのは、現場に作業を押し返すことではありません。

現場が戦える状態をつくることです。


管理職は「作業者」ではないが「観客」でもない

管理職がプレイヤーに戻りすぎると、組織は育ちません。

しかし、管理職が観客になってしまっても、組織は前に進みません。

大切なのは、管理職がどの位置に立つかです。

全部を自分でやるのではなく、必要なところで入る。

細かい作業を奪うのではなく、構造を整える。

現場に任せるだけでなく、現場が動ける条件をつくる。

上から言われたことを流すだけでなく、自分の判断を加える。

管理職は、作業をしない人ではありません。

作業の意味を整理し、組織の動きをつくる人です。


「任せる」とは、何もしないことではない

よく「部下に任せることが大事」と言われます。

これはその通りです。

しかし、任せるとは、単に手を離すことではありません。

任せるとは、目的を伝えることです。

判断基準を渡すことです。

困ったときに戻ってこられる場所をつくることです。

責任の重い部分は、管理職が引き受けることです。

何も決めず、何も見ず、何も支えずに、

「任せています」

と言うのは、任せているのではありません。

ただ放置しているだけです。


管理職の価値は「前に進めること」にある

管理職の価値は、作業量では決まりません。

資料を何枚作ったかでもありません。

会議に何回出たかでもありません。

上と下の間をどれだけ行き来したかでもありません。

管理職の価値は、組織を前に進めたかどうかです。

止まっていた議論を進めたか。

曖昧だった責任を整理したか。

現場の不安を減らしたか。

余計な作業を減らしたか。

必要な判断をしたか。

誰かが背負いすぎているものを軽くしたか。

組織として向かう方向を見えるようにしたか。

ここに管理職の本質があると思います。


まとめ

管理職は、すべての作業をする必要はありません。

むしろ、すべてを抱え込む管理職は、組織を弱くする可能性があります。

しかし、だからといって、作業をしないこと自体が正義になるわけではありません。

現場から上がってきた内容を上に報告するだけ。

上から言われたことを現場に伝えるだけ。

会議に出て、進捗を聞くだけ。

それだけであれば、管理職の価値はかなり薄くなります。

管理職に必要なのは、単なる中継ではありません。

現場を見て、構造を理解し、必要な判断をして、時には表に出ること。

現場が動きやすい状態をつくり、組織を前に進めること。

管理職は作業をしない人ではありません。

管理職は、組織が前に進むために、必要な場所で前に出る人です。

Follow me!

コメント

PAGE TOP
タイトルとURLをコピーしました